歯の本数と認知症は実は密接な関係があるということをご存知でしょうか。
むし歯や歯周病で奥歯を失うと、物忘れや認知症のリスクが高くなるといわれています。
残っている歯の数と認知機能の関係を調べた研究では、70歳以上の高齢者で、「脳が健康な人」は平均14.9本でしたが、「認知症の疑いあり」の人は平均9.4本だったと報告されてます。
ではなぜ、歯の本数が少なくなると認知症のリスクが高まるのでしょうか?
その理由の一つに、奥歯で噛まないと脳への刺激が減ることがあげられています。
奥歯で噛むことによって歯根のまわりや頬の筋肉が刺激され、その刺激が神経を通じて脳に伝わる
ことで脳内の血流がよくなり、脳細胞が活性化します。
ヒトの場合、ひと噛みで約3.5mlの血液が脳に送り込まれるといわれています。
30回噛めば100ml以上の血液が送り込まれることになります!
よく噛んで食べればそれだけ新鮮な血液が脳をめぐるというわけです。
また、奥歯がないと食べられるものの種類が限られ、脳の健康に必要な栄養素が十分に摂取できな
くなることも理由の一つと考えられています。
奥歯で噛めなくなると、肉などの固いものや、繊維の多い野菜などが食べにくくなります。そのた
め、たんぱく質や各種ビタミンなど脳の健康に必要な栄養素が不足し、記憶力の低下へとつながっ
ていきます。
できるだけ、歯の本数を維持し健康寿命を伸ばすことが、QOLの向上につながります。
日本人の抜歯原因で最も多いのは歯周病です。
毎日の歯磨きと定期検診で奥歯を守ることが重要です。
出典:一般社団法人日本訪問歯科協会『知って得する!口から健康お役立ちBOOk』現代書林,2021,30-31