顎というのは動く力が繰り返し加わって刺激を受けることで発達していきます。
現代人の噛む回数が減っているということは、それだけ顎の発達が未熟になりやすい状況になっているといえるのです。
あるデータに、日本人が1回の食事で何回くらい噛んでいるか?が報告されていました。
多分推定も含まれていると思いますが、そのデータによると弥生時代が約4000回、鎌倉時代が約2600回、20世紀初めが約1400回、そして現代が約620回と記載されています。
その時代の食材や調理方法が影響しているとはいえ、現代人は弥生時代の1/6以下、100年前の半分以下しか噛んでいないことになっているのです。
歯自体は昔より少し大きくなっているのに、噛む回数の減少が影響して現代人の顎は確実に小さくなっています。
歯並びというのは、歯と顎の大きさのバランスですので、顎の大きさが小さくて歯が並ぶスペースが十分になければ、歯が重なってしまったり内側や外側に押し出されてしまうのです。
最近、普通の食事で「噛む」ことに疲れてしまう子供が多いといわれています。
口の周りの筋肉は噛むことで鍛えられるので、ハンバーグやカレー、ファーストフードなどのあまり噛まなくても食べることができるものばかりを食べている弊害の顕著な例です。
子供に「沢山噛みなさい。」といっても、簡単に飲み込める食品だと効果はありません。
「飲み込むまでに噛む回数」を重視する為に、噛まなくても飲み込めてしまう食品を減らす、調理をする時に食材を一回り大きめにカットする、汁物やお茶などで食べ物を流し込ませないようにする、などの工夫をしてみてはいかがでしょうか。