人間の顎は成長に伴って発達して大きくなっていきますが、歯というものは生えてくる前に歯の大部分が完成していますので大きさが変化するという事はありません。
もし、歯の大きさと顎の大きさのバランスが取れていないケースだと、歯が歯列内に並ぶ事ができずに後から生えてくる歯は斜めに生えてきたり外側や内側にはみ出してしまいます。
歯が歯列内の正しい位置にキチンと並んで生えてこない原因は、顎と歯の大きさのアンバランスなのです。
「最近の子供は顔が小さいからキチンと歯が生えてこない。」と言った声を聞く事があります。
本当に日本人の顔は小さくなってきているのでしょうか?
歯列が関係するのは顔というよりも顎の大きさなんですが、昔の人と現代人の顎と歯の大きさを比較した近年の研究発表によれば、昔の人と比較した現代人の顎は顕著な変化がないのに対して、歯自体の大きさが少し大きくなっている事が報告されているのです。
つまり、現代人は歯だけが大きくなっていて、それが様々な歯並びのトラブルの原因になっていたのです。
永久歯が生え始める前の6才以前の前歯にはすきっ歯のような隙間が存在しています。これは乳歯が抜けた後に更に大きな永久歯が生えてくるための前準備として顎が成長するための隙間が発生しているのです。
ですので、この段階で永久歯が生え始める時期に隙間が全くない子供は、高い確率で歯並びが悪くなってしまいます。
顎の大きさに対して永久歯の大きさ(前述したように大きくなっている傾向があります)が必要以上に大きい場合は、全部永久歯に生え変わった段階で一部の歯を抜歯してスペースを作るという根本的な矯正治療が必要となって来ます。
しかし、もっと早い段階の乳歯から永久歯に生え変わる間に、生え変わるスペースの調整、奥歯の後方移動や顎の幅を広げるなどの治療を行うことで、歯を抜かない矯正治療が可能な場合もあるのです。
この矯正治療は生え変わりの時期(成長期)に行うことが重要なので、まずは早目に歯科医院を受診して相談される事をお勧めします。