健康日本21の調査では、「喫煙の健康に対する影響」に関する国民の知識として、 肺がん、喘息、気管支炎、心臓病、脳卒中、胃潰瘍、妊娠への影響、歯周病の8つが取り上げられましたが、歯周病に関する回答率は27.3%と8項目注の最下位でした。 では本当にタバコはその関心や知識と相関して歯周病を含めた口腔への影響は少ないものなのでしょうか? 喫煙による肺がん死亡率は約4.5倍と報告されていますが、口腔、咽頭癌による死亡率も3倍です。 歯肉や舌、頬粘膜などに生じる癌も明らかに増加していることが解ります。喉頭癌ではなんと32.5倍を示しています。 歯周病は歯茎からの出血や歯がグラグラし進行すれば歯が抜けてしまう病気で、成人の80%以上がかかっています。喫煙はこの歯周病に関しても重篤な悪影響を与えています。このグラフでも喫煙本数が多いほど歯周病が悪化していることが解ります。さらに喫煙者は治療効果が悪く、再発傾向も高くなります。 喫煙が歯周病に影響を与える理由としては 1.タバコの成分であるタールが歯周病の原因である歯垢の沈着を促す。 2.タバコの成分ニコチンが歯肉等の血管を収縮させて血流を悪くする。 3.タバコの成分が白血球を刺激して局所の炎症を悪化させる。 4.歯肉にある細胞の機能を低下させる。 などがあげられます。 そのほかにも喫煙は口臭の原因や、歯肉の着色の原因にもなります。 また、タバコによる弊害は喫煙者自身だけではなく、周囲の人(受動喫煙者) にも悪影響をおよぼします。受動喫煙者に対する悪影響は肺がんで1.95倍、狭心症や心筋梗塞においては 1.25倍の高まると報告されています。 以前のタバコのパッケージの表示は「健康のため吸い過ぎに注意しましょう」といった内容でしたが、 現在では「喫煙はあなたの周囲のひとを傷つける」といった内容の注意書きも見られます。 自身の健康、家族の健康のためにも、喫煙(タバコ)について考えてみてください。