一見、関係がないように思われる血圧と歯周病ですが、実はそうではありません。
両者にはお互いに影響を及ぼす密接な関係があるのです。
歯周病菌が引き起こす感染症である歯周病を治療しないでそのまま放置しておくと、次第に免疫力が低下してしまい、炎症が全身を悪化させることになります。
そうなることで、血管が硬くなり動脈硬化を進行させることに繋がります。
そして、この事が原因となって血圧を上昇させることに繋がっていくのです。
歯周病が悪化すると高血圧の原因になりますが、実はそれとは逆に高血圧が歯周病を発症させることもあります。
この、高血圧で歯周病となる原因には、血圧を下げるために処方される「降圧薬」が関係しているのです。
歯周病の原因の一つに、唾液の分泌量の減少が指摘されていますが、唾液の分泌には食習慣やストレス等の他に、薬などによる影響を受けやすいことがわかっています。
高血圧の治療に処方される降圧薬の中には、副作用として唾液分泌を低下させるものがあるのです。
降圧薬以外にも、抗パーキンソン剤や抗うつ剤、鎮痛剤、利尿剤、などにも同じ副作用がありますが、これは薬の作用により神経の受容体に働き、唾液量を低下させる作用があるからなのです。
また、降圧薬や利尿剤は体内の水分を減少させる働きがあって、結果的に唾液の分泌を抑制してドライマウスになる傾向があります。
唾液には口内の殺菌作用があり、むし歯や歯周病などを予防する働きがあるのですが、唾液量の減少によって殺菌作用が低下して歯周病やむし歯の原因となるのです。
このように、高血圧と歯周病は相互に悪影響を及ぼす作用があります。
そのため、歯周病を予防することは高血圧の予防となり、逆に高血圧を改善することが歯周病予防にも繋がっていくのです。