医療で診断に使われるレントゲン撮影や、CTスキャンなどのX線、また核分裂のエネルギーを取り出す原子力発電所で生まれる放射線などは「人工放射線」と呼ばれています。
これらの医療によって受ける人工放射線の量は、胸部のレントゲン撮影だと0.06ミリシーベルト、胃のレントゲン撮影は3.0ミリシーベルト程度となっています。
更にCTスキャンは3~13ミリシーベルト程度と少し高い値になります。
これらに対して、自然界からの放射線を「自然放射線」といいます。
現在、人間1人が1年間に自然放射線を受けている量は、世界平均で2.4ミリシーベルトといわれています。
この自然放射線の量は場所によって変わってきます。
日本全国を県単位でみてみると、最も高い岐阜県は1.19ミリシーベルト、神奈川県の0.81ミリシーベルト乳歯対して1.5倍ほどの差があります。
海外をみると、インドのケララ地方は9ミリシーベルトと、日本のなんと10倍近い値になっています。
この原因は土壌中のモナザイトという鉱物のためといわれています。
航空機で東京とニューヨークを往復すると、0.11~0.16ミリシーベルトの放射線を受けることになります。
地上から高い場所ほど、宇宙からくる放射線(宇宙線)の量が多くなり、1万メートル以上の高度では、地上(海面)の約150倍の宇宙線が降り注いでいるからです。
また、私達は食物に含まれる放射性物質からも放射線を受けています。
主な放射性物質はカリウム40・炭素14などで、すべて自然に存在するものです。
カリウムは、私たちの健康を保つために必要不可欠な元素の一つで、いろいろな食品に含まれています。
私たちは食物を通して約4,000ベクレルのカリウム40を体内に取り込み、その放射性物質からも年間約0.2ミリシーベルトの放射線を受けている事になります。
しかし、こうした食物を通して取り込まれた放射性物質は時間の経過とともにだんだん少なくなっていく上に新陳代謝されるため、体内ではほぼ一定の割合に保たれ、それ以上増えることはないので