膠原病と歯科には関連性がないように思われる方がいるかも知れませんが、両者の治療には相互に影響を及ぼすケースがあります。
膠原病(こうげんびょう)とは、全身の皮膚や血管、筋肉、関節などの広範囲に炎症が見られる病気の総称で、原因不明の発熱や湿疹、関節の痛みなどの症状が共通して現れます。
特に女性に多く見られる病気で、比較的若い女性の不明熱(原因不明の発熱)として発見されることが多いとされています。
この膠原病には、全身性エリテマトーデス(SLE)やリウマチ(RA)など数種類の病気が含まれています。
膠原病の種類によって治療法は異なりますが、一般的には副腎皮質ステロイドホルモンを使用することが多いとされています。
このステロイドは投薬効果が高いのですが、副作用も少なくありません。
ステロイドはアレルギーを抑えるとともに、免疫系の働きも抑えてしまい、感染しやすいという難点もあるのです。
ご存知のように、口の中は雑菌の宝庫と言われています。
膠原病の治療にステロイドを使っていると免疫が低下するので、抜歯したり、歯を削ったり、歯石を取るといった歯科治療でも歯周病菌が簡単に増殖してしまうのです。
歯周病もむし歯も、感染によって成立しているのです。
また、膠原病の中でもシェーグレンなどの場合は、どうしてもドライマウスになるケースが多く、このドライマウスによって雑菌が増えてしまいます。
口の中の衛生というのは、実は唾液の循環によって守られているのです。
患者さんの症状によっては膠原病の治療を優先して、歯科治療は膠原病の症状が落ち着いてから実施する場合や、ステロイドの内服量を加減して歯科治療を行うなど膠原病の主治医の判断が必要になります。
膠原病の患者さんの歯科治療には、担当歯科医と膠原病の主治医の連携が必要といえるのです。