他の病気で治療中の患者さんは、なかなか同時進行で歯科治療を進めるのは難しいかも知れません。
しかし、逆説的にいうなら、他に病気があるなら特に歯科治療を進める必要があるのです。
例えば、日本人の死因の1位にランクされる癌ですが、安全で苦痛の少ない良い癌治療やおだやかな療養生活を実現するには、適切な口腔ケアが不可欠ともいえるのです。
癌の患者さんの口腔を健全に保つことで、しっかり食事をして体力をキープして、口腔細菌が原因になる他の感染症のリスクを下げ、癌治療による口腔合併症のリスクを軽減することに繋がります。
また、癌の外科手術の前後に口腔ケアを行うことによって、術後肺炎のリスク軽減、気管挿管時におけるリスク軽減(歯の破折、脱落など)、食道手術における術後合併症のリスク軽減が期待できるのです。
ある外科病棟に入院した患者約3300人を対象とした研究では、手術の前の術後肺炎予防プログラム(呼吸器リハビリ、及び 口腔ケア)の実施により、術後肺炎の発症頻度を1/4に減少させています。
口腔内の歯周病菌が発生と進行に影響を与えているとされる疾患を羅列してみます。
生活習慣病である高血圧や糖尿病、心弁膜症、狭心症、膠原病、パーキンソン病、肺炎、脳梗塞、心筋梗塞、他にもありますが様々な病気に歯周病が関連しているのです。
歯周病の予防と治療は、万病を回避する近道ともいえるのです。