狭心症や心筋梗塞が分類に含まれる虚血性心疾患とは、何らかの原因によって心臓の筋肉すなわち心筋に酸素や栄養を供給している冠動脈系の狭窄や閉塞により生じる心筋への血行障害のことになります。
この中で心筋細胞の壊死が見られるものを心筋梗塞、壊死が見られないものを狭心症と呼んでいます。
狭心症には、階段や坂道を登ったり、重いものを持った時などの労作時に発作が見られる、身体を動かした時の心筋の酸素受需要の増大に伴って冠血流量が不足したために発症する労作性狭心症の他に、労作時以外に就寝時などの安静時にも発作が起こる安静時狭心症、安静時に発作が生じ心電図においてST部分の上昇の見られる異型狭心症などがあります。
狭心症の患者さんには血栓やプラークの発生を抑える抗凝固薬が使用されていることがあります。
人間の血液には、出血した時に血を固めて止める機能がありますが、抗凝固薬が投与されていると逆に血が止まりにくくなってしまうのです。
したがって、出血を伴う処置を行う時は担当主治医と処置に対する可否や薬剤の量の変更などを相談する必要があります。
参考までに、心筋梗塞の発症後3ヶ月以内は歯科診療は禁止、発症後6ヶ月以内は出血を伴う処置は避けて対症療法にとどめるとされています。
心疾患の患者さんの歯科治療には、慎重の上にも慎重が求められているのです。