医療において、レントゲンやCT検査等の身体の内部の様々な検査に利用されている放射線ですが、検査だけではなく放射線は治療にも活用されているのです。
日本人の死亡原因の上位を占めるガンですが、この治療法として手術や抗ガン剤治療とならぶ三大ガン治療の一つが放射線治療なのです。
放射線は、細胞の遺伝子の一つであるDNAに直接作用し、細胞が分裂して数を増加する能力をなくしたり、細胞が自ら死んでいく現象を増強したりして細胞を殺す作用があります。
放射線はガン細胞だけでなく正常な細胞にも同様な作用をしますが、ガン細胞は正常細胞よりも障害の程度が重く、正常細胞はがん細胞よりは障害の程度が軽いため、放射線照射前の状態に回復するまでの時間が短いです。
この放射線治療は、手術と同じく、ガンとその周辺を治療する局所療法に分類される治療法で、単独または手術や抗ガン剤と併用して行われています。
ガンに対する放射線治療としては、多くのガンにおいて標準治療として適応されているX線やγ線による放射線治療の他に、先進医療に分類される陽子線や重粒子治療があります。
ガンの成長を遅らせる為、あるいは縮小させる為に放射線治療が選択された場合は、ガンに侵された臓器の機能と形態の温存が可能になります。
この治療方法は局所療法である為に全身への影響が少なく、高齢者にも適応できる、患者に比較的優しいガン治療法ともいえるのです。