歯に付いた汚れや細菌を除去し、健康な歯を守ってくれる歯ブラシ。しかし、使用した歯ブラシを間違った方法で保管すると、表面に付着した細菌が増えてしまう可能性があります。そして、細菌の増えた歯ブラシを口に入れることは、食中毒の原因にもなりかねません。そこで今回と次回は、使用後の歯ブラシの保管方法についてお話ししたいと思います。
イギリスのある大学の研究によれば、使用直後の歯ブラシの表面に付着した細菌数は、おおよそ1億個以上とのことです。また保管方法によっては、さらに細菌を増殖させている可能性もあります。もともと人のお口の中には多くの細菌がいますが、歯を綺麗に磨くはずの歯ブラシに、すでに多くの細菌が付着していると考えると、あまり気持ちの良いものではありません。
以下に、細菌が増えてしまいがちな保管方法をご紹介します。
1.一つのコップに家族全員の歯ブラシを保管している
1つのコップなどに複数本の使用済み歯ブラシを保管している場合、互いの毛が触れ合うことで1つの歯ブラシを共有しているのと同じ状態になってしまいます。このことにより、歯周病や虫歯の原因菌を移したり移されたりしてしまう可能性があります。
2.使用後の歯ブラシを濡れたままにする
例えば洋服も濡れたまま放置しておくと、雑細菌が増殖し異臭がします。歯ブラシも同じで、濡れたまま放置しておくことにより、乾燥した状態に比較して、より早く細菌が増殖してしまいます。特に要注意なのは、歯ブラシのヘッドにキャップをして保管することです。濡れたままの歯ブラシにキャップを付けてしまうと、細菌の増殖だけでなくカビの原因にも繋がります。
3.ユニットバス内や台所での保管
お風呂とトイレが一緒になったユニットバスの場合、トイレの細菌が歯ブラシに付着する可能性が高くなります。ユニットバスのある家にお住まいの方は、なるべくトイレから遠い場所に保管するのがおすすめです。また、台所は食品を扱う場所であるため、食品からの細菌が付着することもあります。台所に保管する場合も、水道から離れた場所に保管しましょう。
4.歯ブラシを適切に取り換えていない
「歯ブラシは毛先が広がってきたら替える」という方も多いですが、古くなった歯ブラシは細菌が増殖しやすくなっています。一般的に、1日3回歯磨きをする方の歯ブラシの交換時期は、約1ヶ月毎が目安とされています。
おうちの歯ブラシの保管方法を、あらためて確認してみて下さい。
次回は正しい歯ブラシの保管方法をご紹介していきたいと思います。
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