日本の公的医療保険制度は、2000年にWHO(世界保健機関)から世界最高の評価を受けていて、その充実度は経済協力開発機構(OECD)の加盟国中でもトップレベルと言われています。
日本では、体調が悪くなった時にはいつでも選択した医療機関に行き、窓口で加入している健康保険の保険証を提示すれば一定の自己負担で必要な医療を受けることが可能になっています。
私たち日本人は、この保険制度を当たり前のように思っていますが、実は世界各国によって公的医療保険制度は大きく異なっているのです。
医療制度というものは大きく次の3つのタイプに分けられています。
まず、税金を財源として医療サービスの提供者は公的機関が中心の国営医療モデルで、イギリスやカナダ、スウェーデンなどがこのタイプになります。
次の、社会保険を財源として、医療サービスの提供者には公的機関と民間機関が混在する社会保険モデルがありますが、このタイプとしては日本やドイツ、フランス、オランダなどになります。
そして、アメリカの場合は市場モデルといって、民間保険を財源とし、医療サービスも民間機関が中心に提供するモデルになっているのです。
このアメリカでは、常に医療が政策のポイントになっています。
アメリカの国民の医療保障は、公的な医療制度よりも民間保険が中心になっていて、公的医療制度は、高齢者向けのメディケア、低所得者と障害者向けのメディケイドと呼ばれるものだけで、その対象者は人口の僅か27%に限られているのです。
一般的な勤労世代は自己負担で民間医療保険に加入する必要がありますが、民間保険に加入せず無保険の状態になっている人が人口の約14%、4000万人以上いるといわれています。
また、アメリカでは医療費自体が大変高額になっていて、例えば、虫垂炎の手術で入院した場合には、ケースによって異なりますが、その医療費は日本国内の同等の治療をした場合と比べて約10倍程度、200万円以上がかかるといわれているのです。
アメリカでは、民間医療保険に加入していても高額の治療費によって破産する人が多くいて、政府に対しては今後の早急な医療政策が求められているのです。