1870年9月6日に生を受けた、ウェストン・アンドリュー・バリュー・プライスという歯学博士がいます。
彼は、現代人にとって健康な身体と精神を築くためには何が必要かの研究に尽力して、様々な研究成果を発表しています。
1930年代初頭、当時に人々に広まるむし歯と身体の退化に心を痛めたプライス博士と夫人はアフリカから南米、オーストラリア、ポリネシア、欧州、北部カナダの奥地に至るまで、隔離された未開人社会における食習慣と健康状況を調査しながら世界中を旅して回りました。
当時は近代文明の影響を全く受けない社会がまだ多く存在していたのです。
プライス博士が訪れた未開人社会で生きる、「部族の伝統に従って伝統的な食生活をして、白人社会の影響を全く受けていない」人々は「すばらしく健康」だったのです。
「彼らは身体が健康であり、むし歯も関節炎も結核も退化性疾患もないばかりでなく、朗らかでたくましく幸せだった。」とプライス博士は報告しています。
ところが同じ部族や家族でも、港や都市に出て「白人の店」から入手した「貿易食と呼ばれる加工食品や近代農法によって生産された作物」を食べていた人たちの身体はボロボロに病んでいたのです。
近代的な食生活を始めると、すぐ後に生まれた第一世代においてさえ健康と免疫力を失っていることをプライス博士は発見したのです。
プライス博士の調査による未開の人々の食べ物の特徴としては、白人社会の少なくとも4倍の水溶性ビタミン、カルシウムなどのミネラル、そして10倍の脂溶性ビタミンをバター、魚卵、貝、内臓などの動物性食品から摂っている事が挙げられています。
また、妊娠している女性や授乳中の女性には、動物性脂肪にしかない脂溶性のビタミンAとDが非常に豊富な特別な食べ物が与えられていました。
彼らの健康で立派な身体、また感情的安定性や退化病がないことは、白人社会の精白穀物の粉や殺菌乳、増量剤や添加物が一杯入った便利な食べ物とは無縁の食生活の影響も指摘しています。
博士はまた、口腔内細菌が身体の他の部分に感染して様々な疾患を起こすこと、精製して添加物が混入された食品を消費する両親に生まれる子供は、むし歯や歯が密生しておこる不正咬合の発生率が高い事も合わせて報告しています。
現代人全てが、プライス博士が調査した未開の人々の食べ物による食生活ができる訳ではありません。
しかし、彼の言葉は私達の未来への警鐘ともいえるのです。