昨今、フレイルやサルコペニアなど、筋肉量の低下や、身体機能の低下など高齢化社会の問題点がクローズアップされています。日常生活の中で「食欲がない」「喉に食べ物が残る感じがする」「食べることが遅くなった」などの些細な異変は、年齢を重ねたことで生じる身体の衰えの合図かもしれません。
私たち歯科医療従事者は、「歯」のトラブルだけでなく、人間の生命活動の入り口である「食べる」という行為を支える専門家でもあります。食の衰えの始まりを見過ごさず、よく噛んで美味しく食べることを適切にサポートできるよう日々研鑽しています。先日参加した食支援に関する研修会の企業の展示ブースには、様々な介護食が並んでいました。最近の介護食は、ただ単に柔らかいペーストメニューではなく、見た目は常食と変わらず、味も良く、さながら介護食レストランのようでした。筑前煮はレンコンなどの硬い野菜や鶏肉など形はそのまま、見た目も美味しそうで、エビチリは海老もリアルで辛さも中華料理そのものでした。個人的に感動したのは、牛丼チェーンの〇〇家の介護食。〇〇家の牛丼の牛肉が舌でつぶせる柔らかさ。味も店舗メニューと変わらず、高齢者用の食事にありがちな薄味減塩食でもありませんでした。また、デザートコーナーでは、嚥下機能が低下した高齢者に不向きな大福も、喉に詰まらないような工夫がされており、冷凍で長期保存が可能な和菓子も数多くありました。介護食業界には、多種多様な企業が参入して、まさに日進月歩の世界です。そのような情報を発信していくことも、食支援として大切な役割と考えます。
「食べたいものは何ですか?」「食べたいものをあきらめていませんか?」食べたいものを美味しく食べることは生きる意欲となるはずです。金沢区の五條歯科医院で、「食べられる」ための情報を見つけてください。