「国民皆保険」として定められている日本の保険制度ですが、その運営を司る組織は各々の保険種類によって異なっています。
サラリーマン以外の主に自営業者が加入する国民健康保険は加入者が住んでいる各地方自治体によって運営されていて、全体の約30%といわれています。
そして、全体の約12%が加入している後期高齢者医療制度は都道府県ごとに全市区町村が加入する広域連合という団体が運営主体となっています。
残りの約70%近くが主にサラリーマンが加入する社会保険になっていますが、この社会保険には「協会けんぽ」と「組合健保」の2種類があるのです。
この内の「組合健保」は、常時700人以上の従業員が働いている企業が、自前で健保組合を設立したものになります。
健保組合は、複数の会社が共同で設立することもできますが、その場合は、合計で常時3,000人以上が必要と定められています。
つまり、大企業や、そのグループ会社や子会社が中心になっているのです。
現在は、約1400の健保組合があり、10万8千社が加入しています。
「協会けんぽ」と「組合健保」の違いは、まず保険料の違いになります。
「協会けんぽ」の保険料は、協会が都道府県別に料率を設定しますが、2016年度の各都道府県の保険料率は、大体9.8%~10.3%の範囲に収まっています。
そして、もう1つの「組合健保」の場合は、保険料率は3%~13%の範囲で健保組合ごとに設定して良いことになっていて、実際には協会けんぽよりも、少し安く保険料率が設定されているのです。
さらに「組合健保」のもう1つのメリットとして「付加給付」が挙げられます。
例えば、ある病気にかかって手術をした時の医療費の合計が10万円だったとして、協会けんぽでも組合健保でも、「法定給付」として、医療費の7割は健康保険が負担します。
しかし、組合健保ではさらに「付加給付」という制度があります。
健保組合によって異なりますが、一般に1カ月の自己負担額は2万5千円が上限となり、この場合でも自己負担額は2万5千円になるのです。
つまり、組合健保の方が、自己負担額が5千円安くなるのです。
他の健康保険より、健保組合による「組合健保」は優遇されているといえるでしょう。