歯科治療を行う時に、糖尿病であることは実はかなり問題になります。
糖尿病をきちんと治療していない人は、歯科治療で大変な事になるリスクがあるのです。
歯科治療において、糖尿病の影響として最初に考慮しなければいけない点は、糖尿病患者の血液中には糖が過剰に存在していて、血管中のタンパク質と反応して血管が傷ついている点です。
糖尿病が原因で動脈硬化が進み、高血圧や心臓病、脳卒中などを引き起こすリスクが生まれてくるのです。
そして、糖尿病の影響として次に考えなければいけないのは、体内の化学反応がおかしくなってしまい、免疫機能が正常に働かなくなってしまう点です。
糖尿病患者はほんの小さな怪我でも、普通には治らないで膿んだり壊死してしまう深刻な場合もあるのです。
この糖尿病は全身の病気ですから、歯科領域にも影響が出てきます。
そもそも、歯周病と糖尿病は相互に症状を悪化させる関係にあります。
歯周病が悪いと菌が出す毒素でインシュリンの効きが悪くなり、糖尿病を悪化させると歯周病菌を攻撃する免疫力が著しく低下してしまうのです。
糖尿病の治療を受けておらず、空腹時血糖値が120mg/dlを超えていて糖化ヘモグロビン(HbA1c)の値も高い方、また、治療を受けてはいても130mg/dlほどある患者さんの場合、感染による重症化を回避する為に血糖値のコントロールができるまで歯科治療を延期する場合があります。
治療中の低血糖発作のリスクや普通の麻酔が使用できない等、糖尿病患者の歯科治療には様々な障害が生まれてきます。
糖尿病や、糖尿病の合併症をお持ちの患者さんには、歯科治療をする際にも特別な配慮が求められるケースがあり、治療中の内科医師との連携をとりながら治療を進める必要も出てくるのです。