最近の学校保健統計調査によりますと、一人平均のう蝕(むし歯)歯数は、3才児では平成1年の2.90本から平成25年だと0.63本と減少しており、12才児では平成1年の4.30本から平成25年の1.05本とこちらも年々減少傾向が報告されています。
子供の歯に関しては、年々う蝕は減少しているのです。
ところが、高齢者を対象にすると全く逆の結果が出てしまっています。
歯科疾患実態調査による、平成11年と平成23年の歯周病罹患率を比較すると、64才までは減少傾向にありますが、65才以上の高齢者では増加に転じていて、特に75才以上では顕著な増加が見られているのです。
こうした現状を踏まえて、歯科医療は従来のむし歯治療主体の医療サービスから、「口腔機能全体の維持・回復」の視点からの地域包括ケア(地域完結型医療)への変化が望まれているのです。
歯が痛くなる度に違う歯科医院を受診するのではなく、同じ歯科医院で定期的に受診すると、う蝕(むし歯)や歯周病の早期発見や早期治療が可能になります。
また、かかりつけの歯科医なら、継続的な診察の中で患者さんの症状や治療の経過、他に持病や体質なども把握していますから、より適切な治療に結びつけてくれるメリットがあるのです。
別の調査では、かかりつけ歯科医がいる人は、そうでない人に比べて要介護のリスクも低くなり、寿命が長くなるという報告もあります。
患者さん各々が「かかりつけ歯科医」を持つことによって、歯科医院は歯科疾患に関して継続的な口腔管理が可能となります。
患者さん側としても、歯科に関するセルフケアに対する意識が向上する事に繋がってきます。
その結果として、全身の健康にも繋がり、健康寿命が長くなるのです。